各地の菓子店探訪
宮崎県菓子店の投稿

金城堂

歴史ある菓子が置かれた上品な店

金城堂

 行き合いの空を見上げながら 季節の移り変わりに安堵し夏の終わりに一抹の寂しさなど覚えたりしています。本日は宮崎の老舗「金城堂」にお邪魔いたしました。金城堂は明治13年創業。宮崎県庁の西側のバス通り添いにあり4年前に改装されてさらに落ち着いた上品な雰囲気の店内に入ってお話を伺いました。

 創業者の堀場勘兵衛氏は愛知県からの移住で、金城堂の名は名古屋城の金の鯱に由来との事。戦争火災による2回の全焼も乗り越え現在は4代目となります。

つきいれ餅

 代表銘菓その1、「つきいれ餅」は宮崎におられた神武天皇が御東遷を思い立たれ、皇軍を帥いて美々津の浦で御船出の準備をしておられる時、村人が天皇の御旅立ちを祝して、餅と小豆をまぜて献上したといいます。求肥の餅の中に小豆や日向夏を搗きいれてあり 味と由来もゆかしい「つきいれ餅」は「つきを入れる」縁起菓子としても重用されています。

つきいれ

 代表銘菓その2、「つきいれ餅」を探求・進化させた「つきいれ」も店頭にならんでいますが、やわらかな羽二重の端正な風情のお菓子です。

運だめし

 代表銘菓その3、「運だめし」ですが、鵜戸神宮の霊石亀岩の背中の窪みを目がけて男性は左手、女性は右手で素焼きの玉「運玉」を投げ入れる習わしがあります。見事入れば願いが叶うと言われています。この運玉を象ったお菓子です。男性は左手、女性は右手で召し上がると願いが叶うでしょうとの事でした。

 歴史のあるお菓子の横に洋菓子も陳列してあり、店内には飲み物も準備されています。私がお話を伺っている間にもゆっくり召し上がっておられるお客様がおられ、時が止まったかのような静かな落ち着いた空間でした。

 宮崎県菓子工業組合事務局・大西みつ子