牡丹の製法(基本~組み上げ)
工芸和菓子講習会の開催
一般財団法人北海道菓子協会では、11月22日に工芸和菓子講習会を開催しました。来たる2025年に旭川で開催される全国菓子大博覧会にて会場の華ともいえる工芸菓子の展示に少しでも多く地元北海道からの出品を募っています。
北海道では、現在その伝統ともいえる技の継承がうまくいかず作り手がほぼいない状況なのだ。そんな中、2023年3月にモバックショウの中で開催された全日本和菓子品評会(全国菓子研究団体連合会主催)にて日本菓業振興会の会長であり、山梨県甲府市の銘店『大野屋』の安藤耕一先生に、この状況を相談させて頂きましたところ工芸菓子講習会の開催の企画を快諾頂き今回の講習会に至りました。
講習会前日には、安藤先生と役員数名と北海道菓子工業組合青年部との懇親会をさせて頂き、安藤先生の過去の菓子博出品時の体験談やお菓子の技術についての貴重なお話をたくさん聞かせて頂きました。
当日は、札幌観光ブライダル・製菓専門学校(札幌市)にて和洋菓子関係者と製菓専門学校の生徒含め40人にも受講して頂きました。安藤先生は、過去に全国菓子大博覧会にて最高賞の名誉総裁賞を2度受賞するなど業界屈指の工芸和菓子の技術者であり独自の世界観と他の誰の追従をも許さないほどの独創的な技法で圧倒的な作品を作りあげます。
工芸菓子とは、制作にも途方もない時間を要し、また生地の性質上衝撃にも弱く作品を作って持ち運ぶことは壊れてしまうというリスクを伴う為、制作者は、作るだけではなく運ぶことも念頭に置かなければならない。今回は、菓子大博覧会で運搬することも視野に入れている他、工芸菓子をこれから学ぶ者にも、とても分かりやすい入門編にもかかわらず、すでに経験のある職人レベルでも目を見張る技法が詰まった講習となりました。今回手ほどきをして頂いた題材は、牡丹です。
牡丹とは、別名花王ともいい大輪の花でありながら、いろんな表情を持つ花である。作り手の表現で牡丹といっても色々、生地の配合やこね方まで作業性も考慮して今まで時間がかかっていた作業も時短できる要素もありました。また、組み立て方法も運搬を考慮して衝撃による耐久性なども視野に入れて制作が必要とのことで、過去にフランスに空輸したお話など、とても興味深いものがありました。
講習時間は4時間。通常の工芸菓子の制作では考えられない短時間の講習ですが、牡丹の飾る器までお菓子でつくりあげ、最後の牡丹の花を飾り上げたのがまさに終了予定時間ちょうどという神がかりの手際と集中力。息を飲む程に見るものを魅了しました。出来上がった瞬間には会場から拍手喝采。参加者一同、工芸菓子の魅力改めて感動致しました。これから菓子博に向けて皆で力を合わせて成功に向かい記憶にのこる菓子博に出来たらと思います。
北海道菓子工業組合理事・青年部部長・吉田貴之