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コロナ後に戻ってきた「出前授業」

教室は笑顔と拍手で包まれる

出前授業風景

 1月31日小雨が降る冷たい朝でしたが、その教室は熱気に溢れていました。熊本県立鏡わかあゆ高等支援学校に和菓子作りの出前授業に行って来ました。旧氷川高校跡に作られた、鏡わかあゆ高等支援学校横に併設された調理実習室は、昨年落成した大変綺麗で清潔感溢れた厨房ですが、1番輝いていたのは、生徒達の瞳でした。私が授業の準備をしていると、次々と入って来た生徒達は満面の笑みと大きな声での挨拶でした。「今日は楽しみだった~」とか、「上手に出来るかなぁ~」とかの不安もあるみたいでしたが、生徒15名先生方3名のヤル気満々の気持ちは授業の前から溢れていました。

 先ずは私の紹介から始まり、早速1時間半の授業の開始です。簡単に和菓子の歴史や和菓子の季節感と季節の色の取り入れ方等を話して、10個程度作って見せました。この日の生徒達の作る生菓子は、求肥つなぎの練切りで桜とミカンに挑戦です。三角ヘラの使い方や練り切りを使った、生地の伸ばし方、包餡の仕方、丸め方等を実演しながら教えて行きますが、生徒達は身を乗り出す程の興味津々です。桜、紫陽花、花菖蒲、撫子、桔梗と三角ヘラを使って、違う花々が出来上がって行く度に、笑顔と歓声と拍手が沸き起こります。完全に生徒達のハートを掴んだ瞬間です。最後にミカンの皮を剥いて、中からミカンのふさが出てきた時は、スタンディングオベーションになり、教室が沸き上がりました。

 ただ、この後に自分が作るとなると、不安がよぎります。私は生徒達には、桜の花は失敗しても大丈夫。先に練り切り餡と三角ヘラに慣れてもらうのが目的だから…と、説明して、桜を作らせます。当然上手くは出来ませんが、桜を作ることで生地とヘラ使いに慣れて、ミカンを作るときは格段に上手くなります。生徒や先生方の思い思いそれぞれのミカンが出来上がり、皮の剥き方をホワイトボードで説明して、一斉に皮を剥きます。各テーブルから歓声が上がり、中には涙ぐむ女子生徒も居て、教室は笑いと笑顔と拍手で包まれました。

 この学校の校訓は、自立、挑戦、共生を謳い、就学中に社会に出る為の職業訓練支援の為の、木工や介護、食品製造等様々な教科が用意され、生徒が社会に通用する技術を学んでいます。私もたくさんの小学校から高校大学、農産加工の現場に出向いて、和菓子作りの出前授業をやっていますが、心に残る生徒達とのふれあい授業になりました。

 熊本県菓子工業組合理事・菓舗梅園・片岡圭助

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