各地の菓子店探訪
和歌山県菓子店の投稿

大人向けの「梅酒大福」

処分している梅の実をお菓子に

梅酒大福

 南高梅の生産地みなべ町に、創業明治42年和菓子の店として地元で愛されてきた菓子工房かつら堂に、月向農園から梅酒を製造した後の産業廃棄物として処分している梅の実をお菓子に使えないかと相談があり、試行錯誤の結果、氷砂糖とリキュールに漬け込んだ梅の種を取り出す方法を機械メーカーと相談し、器具の開発に成功した。

 梅を漬け込んで3ケ月目に種が一番取りやすく、味も安定している事がわかった。

 種を取り出した果肉に、カスタードクリームを充填し、白あんに梅ジュレを加え薄く青色に着色した求肥生地に、包餡した。アルコール分は、奈良漬程度まで取り除き大人向けの梅酒大福を完成させた。この技術が認められ、令和5年11月に、和歌山県技能賞を岸本周平知事より授与された。若い女性に人気があり、お土産として評判が良く、毎日売り切れ状態である。

いも餅

 文献によると江戸時代後期、紀州串本村に住む植松弥助氏が、九州日向からサツマイモを譲り受け、紀伊半島一帯に栽培を勧め、食料難の時にサツマイモを蒸し、もち米と混ぜ衝きあげ、食料難を乗り切ったと言い伝えがある郷土料理「いも餅」。最近では地元産の密芋を焼芋ペーストに置き換え、餅の中にこし餡を包み込み、手作りで作った「いも餅」が好評である。2月には、南高梅の花が咲き始めるみなべ町の梅林で、「梅酒大福」と共に観光土産として人気を得ている。

 和歌山県菓子工業組合事務局・高橋義明