各地の菓子店探訪
秋田県菓子店の投稿

忠犬ハチ公生誕の地

おおだて

山田桂月堂

 四方を優美な山々に囲まれた秋田県大館市は秋田県の北部、青森県との県境に位置しております。古くは林業や鉱山業で栄え、昭和時代の町は活気に充ち溢れておりました。

 大館菓子協会も1985年に組合創立100年誌が発刊されておりますので、約140年もの歴史ある組織であります。

 また天然記念物に指定されている秋田犬の本場、そして渋谷駅前の銅像で有名な忠犬ハチ公の生誕の地としても全国的に知られている土地でもあります。そんな町なので、大館市では公式観光キャラクターとして、ハチくんというハチ公の子孫では?というようなゆるキャラも存在します。人ではありませんが、大館出身の有名な生物は間違いなく忠犬ハチ公でしょう。

 そんなハチ公のまち大館ですので、市内の菓子店では古くからハチ公にちなんだお菓子であふれております。サブレ、どら焼き、饅頭、秋田諸越などなど、様々な種類のお菓子が大館市内のお菓子屋さんで販売されているのです。

商品棚

 1901年創業の当店山田桂月堂でも120年の歴史の中、現在に至るまでの約80年間で数多くの忠犬ハチ公をモチーフにしたお菓子を、製造販売してまいりました。

 その中で今回ご紹介したいのが、2012年に発売したチーズまんじゅう「ハチの足あと」という商品です。ある時東北地方の、とある菓子店のチーズまんじゅうを食べ、そのおいしさに感動した私はこんなお菓子を作りたい、そんな思いに駆られ、チーズまんじゅうの試作を始めました。試行錯誤の結果、発売まで一年以上の時間を費やす事となりましたが、何とか発売まで漕ぎ着ける事が出来ました。苦労して開発したお菓子なのでネーミングには自分の思いを重ねたく、考えた末に辿り着いたのが「ハチの足あと」という菓銘でした。

 大正12年大館の地に産声をあげ、踏み出した小さな一歩は大館にしっかりと刻まれました。その後、人々の心に語り継がれるような偉大な足跡(そくせき)を残したハチ公の様に、はじめは小さな一歩でも、後に大きな足あととなる様な、深く皆様の心に残るお菓子へとの願いを込めて、このようなネーミングにしました。自分が食べて感動したチーズまんじゅうの域にはまだまだ達しませんが、これからも一歩ずつあゆみを重ね、成長を続けていきたい思いでおります。このように忠犬ハチ公生誕の地大館市では、ハチ公への思いを乗せたお菓子が各店で製造、販売されています。

店内

 お菓子は人と人、または地域と地域を結ぶ架け橋でもあります。大館のお菓子を食べて大館を思い浮かべる、または実際に大館の地に足を運び、皆様が大館のお菓子を食べて笑顔になっていただくことを、大館菓子協会では切に願っております。

秋田県菓子工業組合大館支部・㈱山田桂月堂専務取締役・山田暦人