各地の菓子店探訪
鳥取県菓子店の投稿

鳥取県中部、こだわりのお菓子屋さん

㈱石谷精華堂「打吹公園だんご」

㈱石谷精華堂

㈱石谷精華堂(倉吉市)は明治13年創業。白・茶・緑3色の串団子、銘菓『打吹公園だんご』は当地名物として広く知られており、固定客も多い。

 地元のもち米を粉にして蜜を混ぜて練り上げ、炊いた餅を白餡、小豆餡、抹茶餡で包んだ無添加無着色の団子。創業以来、変わらぬ味を守り抜いている。

 最近では「名探偵コナン」「ぷよぷよ」とコラボした包装デザインを売り出すなど時代に合わせた取り組みも。

 コロナ禍の需要落ち込みで同社も大きな影響を受けたが、売上回復に注力しつつ、鳥取県の代表銘菓として、山陰を中心に全国に需要を伸ばしていきたい構えを見せている。

 代表取締役専務の田中祥一氏は「一四〇余年続く歴史の中で、長年ご愛顧いただいているお客様を大切にしながら、各種コラボレーションや店内併設の喫茶コーナーでの『映えるメニュー』提供など、若い世代の皆さまにも気軽にご来店いただけるような店にしていきたい」と話した。

宝製菓㈱

宝製菓㈱「山陰の味 大風呂敷」

 宝製菓㈱(東伯郡琴浦町)は昭和21年創業。せんべい、サンドクッキーなどを主力に、観光土産などとして重宝されている。新商品「大山みるくまんじゅう」も好評だ。

 同社の顔『山陰の味 大風呂敷』は誕生から50年超という歴史ある商品。鳥取県産のもち米を使って練り上げたきな粉餅に、鳥取県特産の二十世紀梨を使用した特製「梨みつ」をかけていただく。隠し味の地元産味噌が、きな粉餅の甘みを引き立てている。

 同社は「菓子作りの原点だ」として、一つひとつの素材の吟味を厳しく行う。また、伝統の中にもチャレンジ精神を忘れず「旅の思い出や故郷のやさしさを演出したい」という思いも大切にしながら、確かな品質と信頼の確保を目指している。

 人手不足や原材料高騰など厳しい環境ではあるが、同社業務推進部の西田雅人氏は「今後も素材にこだわり、喜ばれる商品を生み出して行きたい。地元のお客様に愛され、来ていただいたお客様に楽しんでもらいたい。いつでも気軽に立ち寄れる店づくりを続けていく」と話した。

㈲佐川製菓

㈲佐川製菓「びっ栗太郎」

 ㈲佐川製菓(東伯郡琴浦町)は昭和34年創業。主力商品は栗饅頭とスイートポテトだが、最近では受注生産のクリームパンが好調だ。

 「心に残る最高のお土産を」として、団子や牛乳煎餅など観光土産品を販売している同社だが、得意先を問屋に限定しているのが特徴的。さらに、一部の問屋とは企画商品について意見交換し、合意を図った上でヒット商品を生み出すという手法を取っているという。

 犬や亀、花など、見た目も楽しい型まんじゅうの技術には自信があり、同社としても重要な位置づけとしたい構えを見せると同時に、好調のクリームパンなど、新たに始めた冷凍パン商品の成長も目指す。現在主力のまんじゅう商品と合わせて2本立てで進めていきたいとしている。

 人手不足など課題も多々あるが、まずは技術力の向上と生産性向上に取り組んでいきたいと同社。代表取締役の松田俊慈氏は「今後も『三方良し』の考え方で、事業展開を図っていきたい」と話した。

 鳥取県菓子工業組合理事長・小谷治郎平