菊里松月
季節のお菓子がいっぱい
今回紹介するお店は、愛知県名古屋市中区新栄の菊里松月さんです。
店主の服部功さんは、令和5年度から愛知県菓子工業組合の専務理事に就任され公私ともに多忙なところ、お店をおたずねしてお話を伺いました。
菊里松月は、大正12年創業で、創業100年を迎えられました。開業当初はぜんざいなどを食べさせる店で始まり、その後、餅菓子を販売する専業となり現在に至っています。
店主の服部氏は、昭和35年生まれ。小さいころから自然に菓子屋になるように育ち、抵抗なく大学卒業後家業に入り、名古屋生菓子協同組合青年会へも活動の場を広げていき、組合の要職にも就き、組合の主要メンバーとして活躍し、その後地域でも貢献されています。2001年、自店を4階建てビルに建て替え、一層菓子業に邁進しました。ところが実父が旅先で倒れられ、お菓子はできるが、経理などがわからず途方にくれます。しかしこれが転機となり人との出会い、自身の努力と持ち前の頑張り力で新製品開発、自身の技術向上、経営の勉強などの継続で現在の盛業に繋がっていったようで、感慨深く話されていました。
氏は、手づくり地産地消、国産品にこだわりおいしさを追求してきたそうで、大量生産せず自分の目が届く菓子作りをしてきたので大規模化の道を歩めなかったと謙遜してみえました。
お店を拝見すると正面ケースには代表的な朝生菓子(餅菓子)が大きな皿においしそうに並んでいます。看板商品の草餅は蓬草など材料にこだわりファンが多く、たいへんな人気です。おはぎも軽薄短小ではなく、大きく、ずっしり重くなんとなく落ち着くおふくろの味というところです。
もちもちした食感の名古屋のういろは、古典的な製造法である枠蒸しで米粉、砂糖のみで作られて独特の味を出しています。
また、大きくボリュームのあるどら焼きは、抹茶、プレーン、個性的な愛知の八丁味噌味もあります。使用されている小麦粉も愛知産きぬあかりが使われ「愛知産」をフィユチャーされています。
これからも菓子作りは、素材そのものの味を出すよう心がけて手作りに大変こだわりたいし、当たり前のことを当たり前にやり確固とした商品をお客様に提供して「美味しい」という言葉を聞くことを喜びとしたいそうです。
組合運営も経験が不足しているかもしれないが、少しでも業界発展のため理事長をささえ、やっていきたいと前向きの決意を伺い頼もしく思い、おいしそうなお菓子いっぱいのお店を後にしました。
愛知県菓子工業組合広報委員会・佐藤嘉高