各地の菓子店探訪
岡山県菓子店の投稿

地域に感謝、笠岡で60年

藤屋菓子舗

備中そだち

 私どもが商売を営む笠岡市は、岡山県の最南西部で広島県との県境に位置し、南には笠岡諸島があり、フェリーや高速艇の港がある人口4万5千人ほどの町です。

かさおか産とうがきフロランタン

 最盛期には人口6万人を超えており、日本鋼管(現JFE)の工場の一部が笠岡市にあり、島嶼部では石材業や海運業が盛んでしたが年々人口は減少しています。

 そんな笠岡市富岡の地で昭和40年10月に開業し当初は自店での小売り、近隣のスーパーへの卸などが中心でしたが、高度成長期であり結婚披露宴での引菓子や手土産でたいへん忙しい時期もありました。その後、笠岡駅のキオスクなど、販売場所も徐々に増え、平成3年に長男が修業より帰店したのを機に手狭になった工場のみを、近隣に取得した土地に移転しました。数年後その工場のまわりがショッピングモールとして開発されたため平成10年工場の前に小売り店舗を増設し、小売り2店舗体制となりましたが、現在は移転した店舗のみの営業となっており、市内にある道の駅、スーパー、笠岡駅のコンビニなど4か所へ一部の商品を納入しています。

藤屋菓子舗

 当店の主力商品は、俵型のもなかの皮に刻み栗入りの白こし餡をつめた「備中そだち」という最中で、香ばしい皮に素朴な白あんのハーモニーが魅力の開業当時から今でも人気商品です。近年では、笠岡の特産品イチゴやイチジクを使った新しいお土産をつくろうという協議会に参加し、笠岡市民のメンバーと協議を重ねそのアイデアを基に制作された「かさおか産とうがきフロランタン」を商品化し当店で製造販売いたしております。2020年にかさおかブランドに認定され、ふるさと納税の返礼品として使われています。また、北木島の石材会社社長様より同社の採石場に観光用の展望台(石切の渓谷展望台)が設置されるのを機に新しいお土産の開発を依頼され制作したのが「北木島石切り饅頭」です。この様に地域の資源を活用しお菓子を通じて地域の魅力をお届けする銘菓を中心に、季節の上生菓子、朝生菓子、カステラ(地元のブランド卵を使用)、ワッフル、洋風の焼菓子、など取り揃えております。

店内

 これから更なる人口減少、慣習の簡素化や猛暑などによる環境の変化、経営課題をあげればきりがないようですが、この厳しい時期を誠実に乗り切り、私共を育んでいただいた地域社会に感謝し、先ずは地域の皆様に愛され喜んでいただけるお菓子を製造・販売し次世代に繋いで行けるように努力してまいります。

 岡山県菓子工業組合・藤井正(藤屋菓子舗)