熊谷千葉県知事に全国和菓子甲子園優勝報告
「第十五回全国和菓子甲子園」で千葉県立安房拓心高校(南房総市)が初優勝を果たしました。全国和菓子甲子園は和菓子創作を通じ、日本の文化や郷土への理解を深める目的で行われ、今年は8月に大阪府の辻調理師専門学校で開催されました。今回のテーマは「日本の酪農」。酪農業界が扱いに悩む脱脂粉乳を和菓子の中に使うことを条件に、全国34校86作品の中から予選を通過した12作品で優勝を争いました。
安房拓心高校は5回目の出場で、去年の同校の出場チームは準優勝を収めており、今年は先輩方が果たせなかった優勝の栄光を掴みました。調理師免許の取得を目指す「調理系列」の3年生、伊藤千輝さんと庄司真理さんの友人同士のペアで挑戦。2人は同校の「畜産系列」の友人らにもアドバイスを求め、牛のエサに着目。牧草ロールに見立てた和菓子の制作に取り組みました。牧草に見立てた2色の生地は牧草を漬け込んだズブロッカというリキュールを使った村雨生地で、中に巻いた羊羹は配合飼料にも使われるトウモロコシに脱脂粉乳、生クリームを混ぜ込んだ「コーンクリーム羊羹」。飾りとして牧草を集めるフォークに見立てたサブレ生地を作り、そこには脱脂粉乳が入っている「ヤクルト」を練り込むなど様々な工夫がなされました。味、食感などのバランスをとるための試行錯誤を重ねた作品には食の道を極めようと努力に励む2人の決意を込め、「食突モ~進」と名付けられました。
決勝大会では審査員から「完成度が高い」「味のバランスが良い」と、企画力や見た目の美しさなど、いずれも高い評価を得られました。
伊藤さんは「まさか優勝できるとは思わなかったので、認められ、すごくうれしい。食感を工夫して、和菓子が苦手な人でも食べられるようにしました」と語っていました。庄司さんも「大会では緊張したけれど、楽しみながら制作できました。一生懸命に練習してきた成果を認められてうれしい」と笑顔を見せていました。
二人は9月30日、千葉県菓子工業組合池田理事長と共に熊谷千葉県知事へ優勝の表敬訪問を行い今回の作品を召し上がっていただきました。熊谷知事からは「優勝おめでとうございます、とても美味しかったです。今後も頑張ってください」と、お祝いの言葉を頂戴しました。
この優勝作品は11月に開催される同校の文化祭で販売し、後日、和菓子マイスターとして二人の指導にあたった南房総市内にある和菓子店「いとを菓子盛栄堂」でも販売予定となっています。
千葉県菓子工業組合理事・長谷川浩司