「お菓子の力」
能登とウクライナの子供たちへエール
恒例となっている「姫路菓子まつり」も兵庫県菓子工業組合と姫路菓子組合との共同開催として開催され、今年で15回目を迎えました。中でも組合員と姫路の製菓学校生とが其々競い合う「工芸菓子展示」には毎年楽しみにしておられる大勢の来場者が出展作品をゆっくりと見ながら、楽しそうに感想を話しておられる姿が印象的です。
工芸菓子展示と隣接する児童絵画展も人気で今年は「わたしのだいすきなかぞくと食べたいな こんなお菓子」をテーマに姫路市内の小学生、幼稚園児の皆さんが234点の力作を展示してくれました。
アイデアマンの姫路菓子組合有元理事長の提案と交渉で、この絵画展も地元姫路信用金庫様のネーミングライツとして協賛をいただき、より一層の広報性を得ています。そのアイデアの一環では、『私たちは能登を応援しています』の心をかたちでお届しよう能登珠洲市の小学生、中学生と教職員の皆さん合計585人に対し姫路菓子組合有志が提供してくれたお菓子の詰め合わせ「応援バック」600個を菓子まつり会場の特設テントで来場者からの応援メッセージとともに詰合せ作業にもボランティアとして参加していただく事業を展開し、姫路から能登への♥をお届けさせていただいています。
また菓子まつりに合わせて行われたもう一つの心温まる事業があります。それは、ウクライナの戦禍に巻き込まれて隣国ポーランドに避難している日本での中学生にあたる子供たちの中から10名と保護者・担当者との計12名を姫路市が招待し、姫路を中心に各地を訪問しました。帰国前日には菓子まつり会場の施設内調理教室を会場に「姫路の和菓子作り」を体験してくれました。指導は姫路の組合員から江戸屋の江川氏とゑびす屋の藤原氏が担当。日本を感じてもらう「桜」と季節の「もみじ」、そしてウクライナをイメージした巻物との3種類の上生菓子作り体験です。日本と姫路のお菓子の成り立ちのお話に続いて始まった菓子作り体験。指導者の丁寧な解説を兵庫県立大学に留学生としてウクライナから来日中の女子大学生が作業説明と共に伝えてくれています。製菓のお手本が進むにつれ、子供たちからも感嘆の声と笑顔があふれます。見様見真似でもありましたが、呑み込みの早い子供たちはどんどん作業を進め、初めてとは思えない出来栄えの3点を仕上げてくれています。教室内には、英文の和菓子の歴史や、上生菓子以外の菓子類、原材料の展示もあり、熱心に見たり触ったり試食してみる子供たちも。
出来上がった菓子は、教室内のスペースでお茶と共に試食タイム。友人同士で色々な感想を話し合いながら自作の上生菓子を美味しそうに召し上がっています。餡への好みがどうかなぁと気にしていた吾々を横目に、暫くすると皆さんきれいに完食。「とても美味しかった」の感想にこちらも癒されました。
召し上がっている時に、菓子まつりに出店している扇雀飴本舗のマスコットの着ぐるみ「チュンチュンチュッピー君」が教室に入って来るなり、みんなの笑顔が爆発! 抱き着いたり写真を撮ったりと子供らしい姿に。楽しいひと時を過ごしてもらえました。
一日も早い平和の実現を心から祈ります。
様々なお菓子。そのお菓子に係る人たち。お菓子が与えてくれる優しく暖かな心。小さなお菓子の持つ力を様々な形で見、体験し、確認できた姫路菓子まつりでした。
兵庫県菓子工業組合事務局・日崎隆広