各地の菓子店探訪
静岡県菓子店の投稿

静岡市清水区 有限会社秋月堂

「アッ!と驚く菓子作り」

社長英輝氏と販売スタッフの皆さん

 静岡市清水区と言えば先ず、日本三大美港の一つ、清水港がある。サッカーの「清水エスパルス」でも良く知られている。浪曲や映画、小説でおなじみの幕末の侠客清水次郎長も有名でご存知の方も多い所である。その次郎長の生家から車で10分足らずの清水区西久保にお訪ねの「秋月堂」さんがある。

 西久保には火防の守護神として名高い秋葉山があって県内外各地から秋葉講詣での参拝者で賑わう所である。店はこの秋葉山に近く幹線道路から入った支線沿いにあり交通の便も良い。店舗前には10台可能な駐車場が完備、テーマパークのようなおしゃれな建物に思わず子どもさんでなくてもワクワクした期待感が湧いてくる。

人気№1の「あぱれいゆ」

 ドアを入ると店員さんの明るい声と笑顔に迎えられる。広い店内は天井も高く明るい照明でのびのびとした雰囲気で買い物もゆっくりと楽しめる。和菓子・洋菓子の大きなショーケースを中心にコーナーごとに分かれたブースにはそれぞれ40種類のお菓子が整然と並べられ商品案内の看板には自然と良い塩梅に目が向いてしまう。和菓子協会のポスターも良い雰囲気を醸し出している。店内の入り口に近い所に椅子や大きなテーブルが置かれた憩いのスペースがある。家族連れの方や包装を待つ方、荷物の送り状を書く方、時には子どもさんの遊び場にもなる。ここにはお客様から贈られた富士山を被写体にした大きな写真がズラッと展示されて癒される。棚には進物品のサンプルが丁寧に並べられていた。特に目を引いたのは「もらってうれしい、贈ってうれしい、食べておいしい「あぱれいゆ」、秋月堂さん、ありがとう!」と書かれたお客様から届いた色紙があったこと。「あぱれいゆ」は当店の人気看板商品である。先代、克馬氏が贈答品(ブライダル向け)になる商品として開発。箱を開けたら「アッ!」と驚くような商品を目指しバターケーキをクッキーで包むお菓子の姿から「幸せを包む」というキャッチコピーで売り出し約半世紀(48年間)ヒット商品としてお客様に愛されている。また、同業者の間でも話題になる商品である。

 秋月堂さんの創業は古く明治4年(1871年)大内松蔵氏が現住所で始め、英輝氏で6代目となる老舗である。一時期、清水市の繁華街である東海道本線清水駅前の駅前銀座に出店し繁盛していたが5代目がマイカー時代を迎え駐車場の必要性を感じたことと自家製餡、製造の機械化等を進めるにあたり駅前店では手狭なことから昭和50年現所在地に移転を決めた。

おしゃれな店舗全景

 現店舗は広い隣接地が確保できたことから平成22年9月、長年の念願がかなった店舗をオープンした。それまで数店あった支店は本店に広い駐車スペースが出来たことや経営資源の集約を図るため順次閉店していった。その他、静岡伊勢丹、エスパルスドリームプラザ、しずてつストアーなどにも納入販売されている。

 現在17名の従業員が経営理念である「安心安全、法令順守を大前提に、人生の様々な場面で利用して頂けるお店作り、お菓子作り」を目標に頑張っている。

 英輝氏も現在、清水菓子組合長や県理事を務め、菓業連合青年会では各要職を務められてきたので全国でもご存知の方が多い、先代各氏も組合長等を務めるなど業界への貢献度は高く、先代克馬氏は業界はもとより各学校PTA会長歴任など社会貢献もされている。

 英輝氏は組合活動について「ネット上では知りえない知識や情報を得ることが出来るので大事にしていきたい」と話された。

 静岡県菓子工業組合顧問理事・㈲光来堂・森田 紀