全国和菓子甲子園の優勝作品
地元の声集まり商品化
BOSO・・・この字から連想するのはそう一つしかありませんよね。オートバイ?いいえ、いつのお話をされておられるのか。もちろん、今は房総しかございません。今、勢いのある学校、2024年全国和菓子甲子園の優勝高校の安房拓心高校の所在地でもあります。

そんな和菓子にも縁があり、千葉県の大部分の面積を持ち、気候おだやかなこの地にある南房総市の盛栄堂さんを紹介させていただきます。創業は大正3年、現在は4代目店主の長谷川浩司さんが腕をふるっておられます。代表的商品のさざえ最中やくじらまんじゅう等、季節に合わせたお菓子を作られております。また、全国和菓子甲子園の優勝作品の「食突(しょとつ)モ~進」もこちらで販売しています。

色々なお菓子についてお聞きしたかったのですが、今回特に聞きたかったのは優勝作品の販売についてでした。経緯を聞きますと、高校の文化祭で高校生たちが販売したところ、余りの人気にすぐ売り切れてしまい、文化祭の参加者からもっと欲しい、販売して欲しいという声を多く頂いたからということでした。その人気というのも、全国和菓子甲子園に優勝した後に地元の様々な方から、お祝いの言葉を受け、自分の家族が優勝したように笑顔で触れ合ってくれたとのことでした。そのような地域のつながりが強い場所での優勝作品ということで、想定を上回る人気となったのです。
じゃあ、すぐ製品化すればいいかということですが、元々は作品として作られたお菓子を製品化するという作業が難しかったと。生産性を高めるにはどのようにすれば良いのか試行錯誤を重ねて商品化にやっとたどり着いたとのことでした。商品化に際して作品を作った高校生たちがとても喜んでくれて、商品化できてとても満足感を得られる瞬間だったと語ってくれました。

また、長谷川さんはものづくりマイスターの資格を有しており、同高に外部講師として年に数回指導を行っているとのこと。その指導を受けた生徒が今回、アイデアを出して優勝してくれたことに喜びも大きかったとのことでした。今回、お話を伺った中で、ものづくりマイスターを取得したきっかけで地域の高校とつながりができ、お菓子の普及に寄与できるということがこの制度のいい所ではないかと私自身、感じました。各都道府県にこの制度を活用する、マイスターの認定を受けるということを通して、我々の業界が子供たちへの菓子の楽しさを教え、地域の方々がもっとお菓子に触れ合い身近になっていく、人々が笑顔になれる一端をもっと担っていければ嬉しいなと感じました。

そんな取材を後にして、外房線に揺られながら帰る道すがら、笑顔になれるお菓子ってなんだろう?あんこ?それともチョコレート?ハイブリットな菓子なの?とBOSO(妄想)にふけりながら、房総を後にした次第でございます。
全菓連青年部関東・甲信越ブロック長・斎藤隼人