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「富山小豆の未来」

富山産小豆で銘菓を

小豆畑

 まず、近年の異常気象による恐ろしい影響の中で、小豆栽培に取り組んでいただいている農家の皆様のご丹精とご苦労に、心より感謝と御礼申し上げます。

 自分の住んでいる富山県は本格的に小豆栽培に取り組んでおられる農家さんは殆どおられない状況ですが、粳米・餅米や大豆、栗やその他の農産物が高品質で、とても豊かな実りの多い地域だと感じています。

 自分が十数年前より県外の和菓子イベントに参加させていただく中で、外からの視点を得て「富山だからこその和菓子作り」を考えるうちに、いつの日か「富山産小豆でお菓子を作る」ということを夢見るようになりました。

 それ以来、十年以上にわたって色々な方にお声掛けしながら、一緒に富山産小豆の栽培に取り組んでくださる仲間を探しました。栽培に手間のかかる小豆に挑戦してくださる方は中々見つからなかったのですが、遂に四年前に御縁があり素敵な方と共に「富山小豆」の栽培への挑戦が始まりました。

 最初は小さな面積での栽培から始めていただき、栽培方法などを試していただきながら二年間はテスト栽培に近い形で進めていただきました。

 三年目に入るタイミングで、地元で多角的な事業と併せて素晴らしい土作りの事業をされている経営者の方と御縁が生まれて、更にその方の農業部門のパートナーをされている方も参画してくださり、素敵な仲間が増えて迎えたのが昨シーズンでした。

小豆作りに取り組む仲間たち

 広い農地も御提供いただき、そこに入れる土も富山が誇る素晴らしい品質の土を御用意いただき、農家の方の仲間達や、その方達の農業の師匠も御尽力くださり、品質もより高く、収量も大幅に増えて、四年目の今年は大きな規模での栽培に乗り出す計画で進んでいます。

 今まで収穫していただいた富山小豆は収量が多くないので、通常の店売り品で一度に販売してしまうのは惜しく感じて、特別なイベントの際や、県外や海外からのお客様にトータルで富山の和菓子や工芸、地酒などをご紹介する際に使用し、富山の地域文化の総合力、米や地酒などと同じ土地から生まれた産物として富山小豆をご紹介し、地域の産品と合わせて富山小豆の価値向上を試みています。

 今後の目標は、富山小豆の品質や収量と共に「認知と価値」を向上させて、名産地と呼ばれるように成長して、その地から生まれる銘菓を生み出し、一緒に取り組んでくださっている仲間や農家の皆様に御恩返しが出来るような循環を作る事だと考えています。

 もちろんこれらは自店舗のみでは実現が難しいですので、色々な体制を整え、地域の仲間を増やして共に進んで行ける状態を目指しています。

 小さな夢から始まった富山小豆の取り組みですが、素敵な御縁に巡り会えて、少しずつ歩みを進めています。農作物の加工業である和菓子屋に出来ることは沢山あると感じているので、夢を信じて前進したいと思っています。

 いつの日か富山小豆の高評が、この記事をご覧になっている方々に届く日が来る事を願っています。

 富山県菓子工業組合・有限会社 引網香月堂・代表取締役・引網康博

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