伝えていかなければならない『和菓子文化』と『職人の技』

いしかわ・金沢の文化を一言で表現するならば、食文化、工芸文化、そして芸能文化である。
しかしながら、いずれも後継者不足が課題で将来が不安視されているなか、2019年末、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し経済活動が停滞した。2015年3月開業の北陸新幹線は、このコロナ感染症で首都圏からの入込数は激減、また、海の玄関口として整備された金沢クルーズターミナルも豪華クルーズ船の寄港はゼロ状態が続きました。
この感染症の苦境から、組合の中では後継者不在等の課題もあってか、これを機に前倒しで廃業を決めた組合員も続出した。一方、金沢市の職人大学校においては、伝統的高度な職人の技を後世に伝承しており、冬の兼六園の雪吊り、土塀を保護するこも、金沢城の復元工事の鼠多門(ねずみたもん)、そして、世界遺産である姫路城の保存修理工事(屋根)など、金沢職人大学校の技が活かされています。ここで、和菓子の職人大学校も必要かと思われます!

以後、昨年3月北陸新幹線も敦賀まで延伸、次いで金沢港クルーズターミナルには豪華客船が連日寄港し市内は訪日客で市場も活気づき、鮨、おでん、海鮮料理など金沢の食文化が再び復活の兆しも見えてきました。
また、菓子行事では桜をテーマとした「かなざわ・まち博」、尾山神社の「献菓・献茶祭」、春の「金沢ウォーク」と秋の「金沢マラソン」の給食スポットで和菓子の提供、5月ゴールデンウィークは金沢城内の「百万石菓子百工展」、8月は大阪・関西万博の石川県ブースで「和菓子体験セミナー」を開催するなど、県、市とともに国内外に菓子文化を発信する計画です。

また、組合事業では、菓子の企画検討委員会を設置し専門家委員とともに小冊子制作をスタートしたところ、昨年の1月能登半島地震が発生、更に9月豪雨災害によって、能登地区の内容を当初計画から大幅に見直しすることにもなりましたが、内容として、表紙は金花糖(金沢の金花糖に魅せられたファンの作品)、最近ブームのハーブティ×和菓子、ワイン×和菓子、コーヒー×和菓子のコラボ企画、また、地域ゆかりの和菓子をイラストで紹介、氷室・福梅の食レポ(和菓子大好きグループの食べ比べ会による)、菓子箱の工場取材等でまとめた構成となりました。今後、菓子教室、イベント会場、観光施設等で配布し身近な和菓子に興味を持っていただけるよう発信していきます。
最後に、能登地区は解体作業も進み、更地が目立つようになりましたが、日本の原風景を感じさせる黒瓦、板壁による町並みの再現、食の宝庫と言われた能登半島の本格復興と復活を切に願うものであります。
石川県菓子工業組合事務局・薮猶八