和菓子と洋菓子の二刀流

越前市は、福井県のほぼ中央に位置する市で国府がおかれていた越前地方の中心地として栄えた歴史のあるまちです。昨年(2024年3月)には北陸新幹線が東京から敦賀まで開通し、大河ドラマ「光る君へ」の主人公、紫式部が唯一都を離れて暮らした地でもあります。
さて、この地で大正12年(1923年)創業し本年102周年をむかえた当店の紹介をしていきたいと思います。
百周年をむかえ、それを記念し新しい商品を作りたいという想いから、昨年度は紫式部が越前で詠んだという句をサブレにプリントし販売いたしました。こだわって作ったサブレは昔ウィーンで修業した折に学んだテーゲベックの作り方をモチーフにザクザクとした新感覚の食感に仕上がったと自負した商品です。大河ドラマ館などでも販売し、ご好評いただきました。
もともとは和菓子屋として開業した当店ですが、三代目である私の代からはドイツ・ウィーン菓子専門店として営業しております。
本格的なザッハトルテ・バームクーヘン・シュトーレンは厳選した素材をたっぷり混ぜ込んだ自信作。バームクーヘンは令和3年(2021年)10月16日に日本経済新聞「何でもランキング」にて十位にランクインし、当日朝、開店時には神戸や東京などの遠方から車や新幹線を使っていらしたお客様が並んでおられてびっくりしました。シュトーレンは毎年神戸阪急さんの方でも販売していただいております。

ただ、父は和菓子職人で小さい時からその姿を見て育った為、父が亡くなってからは、小豆の炊き方を自分なりに試行錯誤を繰り返しながらようやく満足できる仕上がりになってきたと思っております。それで洋菓子屋ながら、最中や福井の冬の風物詩である水ようかんは続けて製造販売しております。冬の時期には東京のアンテナショップ「ふくい食の國291」や大阪のアンテナショップ「HOKURIKU+(ホクリクプラス)」などでも水ようかんの販売をしており、遠方に宅急便で送ってほしいというご依頼もよくいただいております。

現在、福井県洋菓子協会会長職に就き十年目となりました。和菓子と洋菓子の二刀流でこれからもみなさまに愛されるお菓子を日々切磋琢磨しながら作り続けていきたいと思います。
福井県菓子工業組合越前市支部・福井県洋菓子協会会長
上野恭裕(㈲シュトラウス金進堂・代表取締役)