第51回信玄公祭りに出店して

山梨県最大の祭り「第51回信玄公祭り」が、4月4日から6日までの3日間、甲府市内で開催された。今回の信玄公役には、元宝塚歌劇団の紫吹淳さんを迎え、華やかに幕を開けた。
舞台となった甲府駅近くの舞鶴城公園では、満開の桜が咲き誇り、穏やかな春の陽気に恵まれたこともあり、県内外から約17万人が訪れた。信玄公祭りが春に開催されるのは、2019年以来6年ぶりとなる。祭りの最大の見どころである「甲州軍団出陣」は、5日に行われ、1,000人を超える参加者が甲冑姿で甲府駅周辺を練り歩いた。その壮観な光景に、沿道は多くの観客でにぎわった。

また、舞鶴城公園周辺ではさまざまなイベントや出店が行われ、山梨県菓子工業組合は県庁前通りに飲食店組合・酒造協同組合と並び出店した。組合の出店は5日・6日の2日間だったが、多くの来場者でにぎわいを見せた。実演販売では「カルメ焼き」が登場。膨らんでいく様子に、子どもたちからは「すごいね!」という歓声が上がり、出来たてのカルメ焼きは大人気だった。

販売された和菓子には、組合が開発した「武田兵糧丸」をはじめ、江戸時代の庶民の菓子として親しまれた「紅梅焼き」や、組合員による多彩な和菓子が並び、多くの来場者に楽しまれた。武田兵糧丸は戦国時代の保存食をイメージし、県内産の食材を使ったお菓子である。普段は山梨県地場産業センターかいてらすで販売している。新しい山梨のお土産として好評だ。また、祭りならではの特別提供として、北海道産小豆を使用した「お汁粉」も販売され、大変好評を博した。「前回の祭りではこのお汁粉を食べ損ねたが、今回はいただけてうれしい」と話す来場者の声も聞かれ、祭りの賑わいを象徴するひと幕となった。
県内外からの観光客が大勢訪れる中、県内の組合員のお菓子が多くのお客様に手に取っていただき、思い出の一つの味になればいいと思う。歴史と季節の風情が織りなす信玄公祭りは、多くの人々の笑顔とともに春の甲府を彩り、地域の伝統と絆の大切さを改めて感じさせる3日間となった。
山梨県菓子工業組合理事長・内田長久