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AI職人THEO大活躍

技術の継承

THEO

 AI搭載バウムクーヘン専用オーブン「THEO(テオ)」の開発がスタートしたのは、今から9年前の2016年でした。THEOは、職人の経験や勘といった、これまで〝言語化されてこなかった技〟をAIに学習させ、再現可能にするという大胆な挑戦でしたが、実際の開発は簡単なものではありませんでした。焼き色の変化、香りの立ち方、生地の膨らみ具合など一つ一つをカメラやセンサーで読み取り、AIが判断できるようにするには、膨大なデータと地道な検証が必要でした。技術者と職人が協力し、失敗と改良を繰り返す中で、THEOは少しずつ成長していきました。

 THEOの最大の特徴は、単に自動で焼くだけでなく、人間の職人が蓄積してきた知見を、AIが解釈し、理論として再現することで、技術の継承ができるようになったことです。これにより、ベテランの菓子職人でなくても、品質を保ちながらバウムクーヘンを作れるようになりました。

 現在、THEOは全国に約30か所もの修行先(THEOを使用したいという企業やお店)へ派遣されています。そして今、2025年大阪・関西万博という舞台で、多くのお客様にその力を体感していただいています。

焼成作業中

 「EARTH TABLE~未来食堂~」に出店しているTHEO’S CAFEでは、THEOが焼き上げるバウムクーヘンの香りが店内に立ち込め、焼成の様子を間近に見ることができます。来場されたお客様は、目の前で回転しながら焼かれていく生地を見て、「まるで人が焼いているみたい」と驚かれます。それこそが、私たちの目指した〝職人の技の再現〟です。さらに、同じく万博会場に展開しているフードトラックでは、THEOで焼き上げたバウムクーヘンを手軽に提供するスタイルを実現しています。キッチンカーの中でも安定した品質が保てるのは、THEOの存在があるからです。できたてのバウムクーヘンを、場所を問わず安定して届けることが可能になりました。

 THEOはまだ成長の途中です。学習データが増えれば増えるほど、焼きの精度はさらに高まり、新たな焼き方や製法の可能性も広がっていきます。私たちはTHEOを単なる〝機械〟としてではなく、〝パートナー〟として育てています。伝統を守りながら、テクノロジーと向き合うことで、次の100年に受け継いでいく価値だと信じています。

 THEOを通じて、私たちは新しい菓子作りの可能性を世界に示していき、万博を訪れるお客様ひとりひとりに、ユーハイムの未来への挑戦を体験していただきたいと思っています。

 株式会社ユーハイム本社企画開発部広報室・町田啓

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