明治27年のお菓子再現プロジェクト

2025.7.16

～発掘「明治27年菓子覺帳」～

　明治27年菓子覚え帳…今から１３１年前の時代背景を、皆さんはどのように想像されますか？なんとこの年は日清戦争が勃発した年で、日本が勝利して国際的な地位を向上させ、急速な近代化に向かっていた頃です。

　熊本県菓子工業組合と開懐世利六菓匠では、毎年地元熊本の鶴屋百貨店特設会場にて、６月16日和菓子の日にちなみ、熊本お菓子祭りを１週間にわたり開催しており約20年になります。組合ではお客様に飽きさせないように、毎年企画を捻り出してイベントに臨んでおりますが、今年のテーマが明治27年菓子覚え帳に記されているレシピを元に商品を再現してみよう！という企画です。

　この覚え帳は約30年前に当組合員がたまたま骨董品屋で見つけ購入したものなのです。２００２年に開催された熊本菓子博覧会後に発足し、年４回開催される熊本菓子道場にて、参加組合員の皆さんに再現可能であろう10品の尺貫法レシピを解読して担当して頂き、菓子祭りで試食と販売をさせて頂きました。その時代は甘味料が大変高価で手に入りにくい事、しかも今のような道具や機材も無かったであろう事で、全体的に砂糖の量は少ない内容なので、各担当組合員は悪戦苦闘したみたいで各自何度も何度も試行錯誤し試作を繰り返し、何とか再現することに成功したのでした。

　この企画をＮＨＫ熊本局やテレビ熊本、熊日新聞等のメディアにも取り上げて頂き、売り場は連日大盛況で商品の欠品も相次ぐ程でした。私達の大先輩方が残した古の味の再現には、私達も大変勉強になりましたし、お客様にも喜んで頂けたイベントとなりました。

　併せて、毎年恒例企画…組合員20数社が参加する、熊本のどら焼き味比べ！も、お客様には定着して、同じく大盛況でした。

　熊本県菓子工業組合理事・菓舗梅園・片岡圭助