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テーマは小倉百人一首

広島菓子博に向けて

 4年に一度の菓子博に向けて、京都では早くから一団となって動いております。今回のテーマは小倉百人一首で、各部会ごとに歌も決まり、展示ブースの装飾の内容も出来上がってまいりました。

 一番人気は小野小町で妖艶を歌ったら並ぶものの無い小町の代表作。掛詞も作用し、色香のあせてゆく女性の嘆きが見事に表現されています。

 雅な宮中の一幕を紹介。清和殿庭の白砂がやわらかな春の日差しに輝いている。この日は奈良の興福寺から毎年恒例の八重桜が届けられる日。すでに一条天皇も中宮彰子も席につかれ、太政大臣の藤原道長をはじめとする多くの公卿や女官たちも左右に分かれ控えている。美しく華やいだ光景を新参の女官である伊勢大輔はうっとり眺めていた。僧都(ぞうず)がささげ持った桜が庭先に現れたとき、受け取り役の紫式部から「いままいり(新参)の局がお受けなさい」と声がかかる。突然の大役に戸惑いながら前に進み出た伊勢大輔の耳に、今度は道長の「ただ受け取るだけではだめだよ」という声が届く。彼女はたじろがず、即座に「いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな」と涼やかな声で一首を朗詠。とっさに示した歌の才に「なんと見事な…」と嘆賞の声が満座にさんざめく。伊勢大輔の晴れがましい宮中デビューの一幕。

 和歌が伝えた美意識が日本文化の源なら、京都が博覧会の展示に力を入れるのも雅であることの証であろう。

 京都豆菓子組合理事長・青山征史

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