ボンボンオショコラ(Bonbon au chocolat)
ボンボンとはフランス語で「Bon(美味しい)」と言う単語がつながった幼児言葉が語源です。ボンボンは糖菓(コンフィズリー)全般のことを指し、一粒タイプのショコラやキャンディ、キャラメルなどが含まれます。ケーキやクッキーなど小麦粉を主体にしたものはパティスリーと呼ばれます。どんな大人でもショコラを食べるとき、「おいちいおいちい」と言い表す姿は、人々を幸せにするお菓子の存在を示すようにも思えます。
クーベルチュールの厚み
生チョコは別として、ほとんどのボンボン オ ショコラは外側をショコラで覆う必要があります。これは装飾のためよりも、デリケートな中身のガナッシュを保護する大切な役割があります。クーベルチュールの中にセンターとしてのガナッシュをトランペする方法、型の内側にクーベルチュールをシュミゼして、後からガナッシュを入れる方法どちらにしても、この外側のクーベルチュールのかかり具合はその出来上がりに影響します。厚過ぎると主役であるガナッシュが引き立たなくなり、薄過ぎれば外側が割れやすくなりガナッシュを保護する意味を為さなくなります。
センターの温度
センターとするガナッシュの温度も外側のクーベルチュールに影響を与えます。
センターの温度が低過ぎると被覆したクーベルチュールの凝固が内側から起こり、表面の光沢を作るために必要なカカオバターの膜が出来なくなり、そのためクーベルチュールの表面がにぶく光沢のないものとなります。
またシュミゼした型に流すガナッシュの温度が高過ぎると、被覆したクーベルチュールに温度変化が起こり光沢のないものとなります。
センターの適温は19~27℃の室温からクーベルチュールの凝固点温度の間と言われています。
ガナッシュ
「Ganache(ガナッシュ)」は、今ではクリームなどとショコラを混ぜ合わせたものを指しますが、元々は「馬の下あご」という意味があります。
良いガナッシュ(なめらかで口溶けがよい、ツヤがある、日持ちがよい)を作るには「乳化させる」ことが必要です。乳化とは水分と油脂分を細かい部分で混ざりあった状態にすることです。マヨネーズやクリームなど、油脂分が水分の分子で包み込まれている水中油滴型。ガナッシュなど水分が油脂分の分子で包み込まれている油中水滴型があります。クリームやショコラ、バターなど油脂分がとても多いガナッシュの乳化が上手く出来るとなめらかな口溶けが得られます。反対に乳化されていないガナッシュは、口溶けの悪さだけでなく、ツヤや乾燥しやすくなるなど日持ちにも影響が現れます。
◎ココナッツのボンボン オ ショコラ
(1つ約8g・40個分)
●配合
ショコラブラン…………200g
カカオバター…………… 15g
ココナッツピュレ………100g
ココナッツリキュール… 15g
バター…………………… 15g
●製法
・しっかりと乳化させるためには手作業では限界がありますので、ハンドブレンダーやフードプロセッサーの使用が望ましいでしょう。
・ショコラにクリームやリキュールを加え、前述の器具でしっかり混ぜ合わせます。
・バターを加える場合はガナッシュの温度が40℃以下に下がってから、すなわちバターが溶けない温度になってから加えます。バターは口溶けを良くするために加えるものですから、溶かしてしまわないように注意します。
専修学校日本菓子専門学校 豊長雄二 氏
洋菓子講習より